ゆうらいふエッセイ

病気知らずの101歳、最期の時・炭坑節を踊り・さようなら❣

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病気知らずの101歳、最期の時・炭坑節を踊り・さようなら❣

2022年8月 永眠

 師範学校を卒業後教師となり、戦中・戦後を通して教師を勤めたK氏。ご主人も教師で3人の男児を育てながら52歳まで教職を継続された。退職後は趣味の裁縫やゲートボール等をしながら婦人会等地域の役を受け、更生保護婦人や保護司等の役を受けてきた。90歳を過ぎて難聴・体力・認知機能低下で家族に日々の支援が必要となり、介護保険の申請をしたが『そんなもんいらん』と、自宅でマイペース生活を続けていた。95歳となりやっと運動の為にと通所介護を利用してくださった。100歳近くなっても本人の口癖は『自分はボケていない』『家ではなんでもしている。家が一番良い』『あんた誰や?』が口癖で、誰かれなくに声掛けするが、難聴の為に応答しても繋がらず怒られてしまうこともあった。
 孫嫁さんより『若い時より規則正しい生活・腹八分・自分にも人にも厳しく接していました』『嫁に来てからは気遣ってくれ跡継ぎを産んだら喜んでくれ金銭的にも助けてくれました』と。気丈でプライドの超高い方で微笑ましくもあり私にも対等に接してくれました。

 排泄・着替え・入浴等自身でできなくなるも、家族の手助けを拒否され素直に介護を受けてくれないので、家族介護者の負担は精神的・身体的に重くなり、ショートステイ利用を追加した。「今年のクリスマスがきたら102歳になります」と話していた矢先、8月13日の朝「お義母さんが何も食べない…水分も…」と電話がありすぐに駆けつける。昨夜水分を飲ませたら嘔吐した…今熱が37.5度あると、コロナ感染の有無の確認が必要と主治医に電話したら旅行に出ていて、近くの開業の先生にお願いして昼までに検査を受け、陰性との確認をする。すぐに訪問看護を依頼したいが、主治医が旅に出ていて15日まで留守であると。脱水症状がみられるので水分補給にゼリー状の水分を飲んでもらおうとすると拒否。『これを飲まないと死にますよ!』と声掛けすると『死ぬのか…』と応え一本飲んでくださる。少しほっとして家族へ経口補水液の購入をお願いし水分補給の大切さを話しあう。サービス変更を話し合い、訪問看護・介護と電動ベッド導入を導入し、主治医の往診で今後の判断を仰ぐよう伝える。8月20日訪問したら孫嫁さんから

『おばあちゃんがおりんを鳴らすしぐさをするので枕元に置いてあげたら、チンと鳴らして拝みました。その後、家族の見守る中炭坑節を踊ってくれた』と。動画を見せて頂いた。4日後の朝穏やかに目を閉じ旅立たれました。

 自宅にお別れに寄せていただくと親族お揃いで、『大往生でした』と見守っておられました。大正・昭和の動乱期を職業を持ち・子供3人を育て・孫に家の繁栄を願い、社会貢献をしと、自身の信念を曲げずに生ききったK氏。

仏に祈り・踊りながら旅立ったお姿に感服しました。